弁護士浅野剛によるWeb法律相談

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交通事故物損編~あの時弁護士だったなら~

 

今回のテーマは『交通事故物損編~あの時弁護士だったなら~』です。

 

私は、弁護士になる前に追突事故に遭ったことがあります。

弁護士になる前だったので、保険会社に言われるがままに示談に応じたのですが、はっきり言って当てられ損でしたので今考えるともったいないことをしたなと思いますし、モヤモヤした気持ちが今もあります。

そこで、今回はあの時自分がもし弁護士だったならという仮定で交通事故(物損事故)を検討していこうと思います。

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写真は筆者撮影の涸沢カールのモルゲンロートです。



 

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相談者: 先生! 渋滞で信号待ちをしていたら後ろの車に追突されました。なんだかウトウトしていたみたいですし許せません。

 

私:交通事故ですか?大変ですね。お怪我はありませんでしたか?

 

相談者:幸いけがもなく警察にも物損事故として処理してもらっています。事故現場に来た警察官からは本当に人身事故扱いにしなくていいのか?と何度も確認されたのですが、そちらの方が得なのですか?

 

私:怪我がないのに怪我をしたと言って通院を重ねるのは問題があります(詐欺罪になりかねません)が、体の痛みは後から出てくることがありますので、体に衝撃を感じたのであれば、最初から人身扱いにしてもらってしっかり通院してみるのはいいと思います。

 

ちなみに、仮に軽い事故で首が痛いと言って治療を続けても、事故態様、診断書、通院記録やドライブレコーダーなどを検討して保険会社は治療費の立替えを早期に打ち切ってくる可能性が高いです。

 その場合、結局(保険会社に相当と認められた期間の)治療費などの実費と通院慰謝料がもらえる金額として増えるだけですが、例えばむち打ちの場合の2か月分の通院慰謝料は36万円程度ですので、怪我の痛みと通院の手間を考えると割に合わない(当てられ損な)気がします。

 ただし、物損のみの事故では慰謝料はまず請求できませんのでご注意ください。これは、物が壊された場合、その物を弁償してもらえば損害は回復されるという考えによりますが、身体的な傷害を負った場合では、治療費だけでは受けた苦痛による損害は回復されず、慰謝料でこれを補う必要があると考えるわけです。

 

相談者:なるほど。首が痛いと言っていつまでも通院していれば何百万円ももらえるというのは間違ったイメージだったんですね!

ところで、今回の事故は後ろからの追突だったんですが、私は渋滞の中で信号待ちをしていたので私の車は少し動いていたかもしれません。

 車対車の事故では、完全に停止していないと過失割合が100:0にならないと聞いたことがあるのですがどうなんですか?

 

私:運転者は後方に対する注意義務は原則ありませんから、今回の事案ではあなたの車が動いていたかどうかにかかわらず過失割合は100:0になると思います。

(※あくまでも原則であり、視認不良等の事情により修正される可能性があります。)

 

ただし、過失割合が100:0の事案では自分(過失割合が0の方)の保険会社は交渉を代理してくれません。また、本件のような比較的軽微な物損事故では弁護士費用特約に入っていないと弁護士に依頼するのは費用的に合理性がなくなり難しいでしょう。そして、仮に弁護士費用特約に入っていても自分で弁護士を探して交渉や訴訟を依頼することになりますので自分に落ち度がなくてもなかなか大変です。

 

相談者:弁護士費用特約には入っています!これに入っていれば弁護士費用は払わなくていいんですよね?

 

私:保険会社の弁護士費用特約にも色々あってそれぞれ弁護士報酬の体系が異なっています。

基本的には上限があって、重めの後遺症(後遺障害10級前後以上)が残るような人身事故であれば上限を超える可能性があります。その場合は獲得したお金から不足分をいただきますが、今回のケースだと上限を超える心配は無用です。

 

相談者:良かったです。

そういえば、修理を依頼したディーラーから、フレームが歪んでいるかもしれないからと買い替えを勧められたのですが、正直お金がないのでこのまま乗り続けようと思います。

この場合に事故に遭ったことによる評価損は請求できないのですか?

 

私:外車か国産車か、人気車種かどうかなどにもよりますが、購入後3年を超えてくると評価損の請求は難しいです。

 今回は3年未満ということですので修理代の1割程度を評価損として請求できる可能性があります。

 

相談者:なるほど。

 修理に1~2か月かかると言われたのですが、その期間はずっと代車を使えますよね?

 

私:代車は基本的には2週間程度までしか使えません。代車利用の必要性が強い事案ではそれ以上の期間が認められることもありますが、かなり例外的なケースです。

 

相談者:う~ん。何か納得行きませんね。

 今回先生に依頼するので問題ないと思いますが、相手方保険会社は私の車の後部の損害(凹み)について、1か所は本件事故と関係ないと主張してきていました。こういった問題はどうやって解決するのですか?

 

私:客観的な資料を整理して、本件事故と損傷の整合性を主張していきます。場合によっては当方の保険会社のアジャスターと呼ばれる専門家に意見を聞くこともします。

 交渉で決着すればそれで解決ですが、無理なら示談あっせん手続や訴訟になります。この辺りは弁護士を付けないと難しい手続になるでしょう。

 

相談者:なるほど。解決までの流れも何となく見えて安心できました。解決までよろしくお願いします。

 

以上

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