池袋の弁護士浅野剛によるWeb法律相談

池袋の弁護士浅野剛が、身近な法律問題を仮想の法律相談形式でなるべくわかりやすく説明するブログです。

大家さん必見!あなたの定期賃貸借契約、もしかして無効かも…?

 池袋の弁護士、浅野剛です。

 

 このブログは身近な法律問題を架空の法律相談形式でわかりやすく説明するものです。

 

 第五回のテーマは建物定期賃貸借契約の有効性です。

 

 平成12年の借地借家法改正により導入されたこの制度は、『更新のない』という点に特徴があります。従前の賃貸借契約ではいつまでも貸した物件が返ってこないことがあり、これによって貸し渋りが生じ、アパートなどの供給不足が生じていたことへの対策として導入されました。

 ただし、個人のアパートオーナーの方などで借地借家法の細かい点を誤解されており、そもそも有効性が認められないようなケースも散見されますのでこのブログを読んで、「なるほど~」と思って頂けると幸いです。

 

 顧問契約も月1万円から引き受けておりますのでお気軽にご相談下さい。

 

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相談者:私は都内のアパートを1棟所有する者です。賃貸借契約書にはきちんと「定期賃貸借契約」と書いているにもかかわらず、入居者が出ていってくれず困っています。先生何とかして下さい。

 

私:はい。まずはあなたの締結した定期賃貸借契約の有効性について考えていきましょう。
 

 定期建物賃貸借等においては、「公正証書による等書面によって契約をするときに限り」更新が無い旨を定めることができるとしています。
 なお、ここでいう公正証書は例示であり、通常の契約書で構いません。

 

相談者:それでは、どこまでの範囲の約定を書面化すれば良いのでしょうか?

 

私:以下の5要素が書面に定められていなければ定期建物賃貸借にはなりません。

 

 ①期間の定め
 ②建物賃貸借である旨の定め
 ③賃貸借の当事者
 ④賃貸借の目的となる建物の表示
 ⑤契約の更新が無く、期間の満了により当該建物の賃貸借が終了する旨の定め

 

相談者:う~ん。一応ひな形を調べて作った契約書なのでその辺は大丈夫そうですね。

 

私:もう一つ、重要な要件があります。賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、更新が無い旨を記載した書面を交付して説明しないといけません。

 

 この説明義務を負うのは賃貸人ですので、不動産仲介者が仲介者の立場で説明を行っても(宅建業における重要事項説明と言われるモノです。)、代理権の授与が無いかぎり、説明義務の履行になりません。
 また、説明を受ける賃借人も本人又は代理人である必要があります。
 さらに、「あらかじめ」とあるので定期建物賃貸借契約の締結に先立って書面の交付及び説明がなされる必要があります。この説明は、書面の交付とは別に口頭でわかりやすく行われる必要があります。

 

相談者:それは知らなかったです!その交付する書面にはどんなことを書けば良いのですか?

 

私:次の3要素が必須と言われています。


 ①当該賃貸借が定期建物賃貸借であること
 ②契約の更新が無いとする特約をすること
 ③期間満了によって賃貸借が終了することが定められていること

 

相談者:えー!そんなの聞いてないです!というか、契約書に事前交付書面の必要的記載事項を書いているので、わざわざ別個に書面を出さなくても良いと思うのですが…。

 

私:かつてはそういう下級審裁判例もありましたが、少し前の最高裁判決で、紛争防止のために画一的処理をすべきであるから、別個の書面の交付が必要という判断がなされました。

 

相談者:それだと、事前に書面を交付していない私の賃貸借はどういうことになるんですか?

 

私:定期賃貸借契約の要件を満たさない場合、契約が無効になるのではなく、通常の賃貸借契約となります。


 これもよく誤解されている方がいますが、通常の賃貸借契約の場合、契約期間を定めても、満期の半年以上前に更新しない旨の通知を行った上で、「正当事由」がないと入居者に出て行ってもらうことはできません。


 正当事由とは、立て替えの必要、賃貸人自身の使用の必要性などあらゆる事情を考慮した上で判断されますが基本的には正当事由補完のために立退料の支払が必要になります。

 これもよく聞かれますが、立退料に明確な相場はありません。

 

相談者:そうだ!入居者の一人が月5千円の管理料をずっと払ってこないんですよ。これを理由にすればそんな面倒くさい手続を踏まなくても追い出せませんか?

 

私:たしかに、賃料不払いであれば、更新しない旨の通知や正当事由は不要です。しかし、賃貸借契約においては「信頼関係の破壊」と言える程度の義務の不履行が必要です。
 これは家賃とのバランスや不払いの期間、賃借人の態度などを総合考慮して判断されます。
 結局訴訟をして強制執行をすることになるとワンルームでも諸費用(※引っ越し業者の費用や執行官の報酬も一次的にはこちら持ちです)で50~100万円程度はかかります。

 

相談者:なるほど。最初にきちんとした契約書を作っておかないと後でとても大変なことになるのですね。何かあったときに気軽に相談したいですし、先生と顧問契約を結びたいと思います。

 

私:ありがとうございます。

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