池袋の弁護士浅野剛によるWeb法律相談

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婚姻費用・養育費ってどうやって決まるの?算定表って何?

池袋の弁護士、浅野剛です。

 

このブログは身近な法律問題を架空の法律相談形式でわかりやすく説明するものです。

 

第四回は2019年12月23日に公開される婚姻費用・養育費の新算定表に先駆けて、現在の実務で婚姻費用と養育費がどのように定められるかを解説します。

 

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相談者:私には6歳の息子が1人いますが、この度、妻が息子を連れて出て行ってしまいました。妻がからは婚姻費用の請求をされていますがそもそも婚姻費用って何ですか?養育費と何が違うんですか?

 

私:婚姻費用とは、「婚姻共同生活を営む上で必要な一切の費用をいい、衣食住の費用のほか、この監護に関する費用、教育費、出産費、葬祭費、交際費を含む」ものです。
 養育費とは、「未成年の子を監護するために必要な費用」をいいます。

 

相談者:先生!いつもみたいにわかりやすく噛み砕いてくれないとわかりません!

 

私:要するに、婚姻費用は①離婚までの期間、②奥さんと子どもの生活費を、③収入の多い方が少ない方に払うというものです。
 離婚後は奥さんの生活費は払う必要がなくなりますので、養育費は、①‘子どもが成人するまでの期間、②’子どもの生活費を、③‘原則として収入の多い方が少ない方に払うというものです。

 

相談者:なるほど…。それで、婚姻費用や養育費はどういう計算式で算出するんですか?妻は、「算定表」という言葉を使っていましたが、生活費なんて各世帯で違うのに一律に金額が決まるなんてことが許されるんですか?

 

私:あなたの言うように、各世帯で生活費等が異なるため、裁判所も昔は全て個別に判断していました。
 しかし、生活費の決定に時間を要するとすると、飢え死にしてしまいますよね。
 そこで、これから説明する計算式をベースに、「算定表」というものを作成し、両者の収入をベースに細かい事情があっても算定表の幅(2万円)で調整しましょうと言うことになっています。
 以上の趣旨から、算定表によらずに、計算式をベースにして金額を主張することは原則としてすべきでは無いとされています

 なお、算定表は家庭裁判所のホームページからダウンロードできます。

 

相談者:結局算定表が全てという感じなんですね。じゃあ計算式なんてどうでも良いですね。

 

私:そんなことはありません。算定表は計算式をベースにしているので、金額についての個別の増減事情を主張する際の参考になりますし、そもそも、子どもの数が多い場合などは算定表がそもそも無かったりしますので計算式の理解は重要です。

 せっかくなので、それぞれの計算式について説明しますね。


 ⑴婚姻費用の計算式

 

義務者の分担額=(X+Y)×(100+α)/(100+100+α)-Y  (年額)

 

※義務者の基礎収入をX、権利者の基礎収入をYとする。生活費指数は子をα、権利者及び義務者はいずれも100とします。

 

①まず、権利者、義務者それぞれについて、基礎収入を算出します。


 基礎収入:総収入-(公租公課+職業費+特別経費)

 

公租公課:所得税、住民税、社会保険料ですが、税率、徴収率から総収入の12~31%となります。


職業費:被服費、交通・通信費、書籍費、交際費などで、統計データから総収入の20~19%とされています。


特別経費:住居費、保健医療費などです。同じく統計データから総収入の26~16%とされています。

 

以上からすると、給与所得者の場合、基礎収入=総収入×0.34~0.42になります。

 

 

②次に、権利者世帯に割り振られる婚姻費用を算出します。

 

 権利者世帯に割り振られる婚姻費用=(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)×権利者側の指数の合計/権利者側および義務者側の指数の合計

 

 按分のための指数については、生活保護基準及び養育費に関する統計から導き出される「標準的な生活費指数」によって計算します。その結果、親の生活費指数を100とした場合、0~14歳までの子が55、15~19までの子が90程度になります。

 子どもの生活費は、子どもが大きくなればなるほど高額になります。

 

 

③最後に、義務者の分担額を算出します。

 義務者の分担額=権利者世帯に割り振られる婚姻費用-権利者の基礎収入

 

以上によって、一番上の計算式になります。


養育費の計算式

 

義務者の分担額=X×α/(100+α)×X/(X+Y)  (年額)

 

 ①まずさっきと同じ方法で基礎収入を算出します。

 

 ②義務者の基礎収入のうち、子に割り振られる生活費を算出します。

 子の生活費=義務者の基礎収入×子の指数/(義務者の指数+子の指数)

 

 ③最後に、義務者の分担額を算出します。

 義務者の分担額=義務者の基礎収入/(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)

基本的な考え方は婚姻費用と同じですね。

 

相談者:めっちゃ複雑ですね!というか一番肝心な部分の数字が、「統計データ」から導かれていて、納得感がないような…。

 

私:そうなんです。そもそも参考にしている統計データが古いのが大問題だと思います。また、現実問題として婚姻費用も養育費も全然足りないという声は聞きますね。
 

 そこで、これらのデータを見直した新算定表が2019年12月23日に公表されます。
 金額がこれまでよりも上昇しているという噂も聞きます。
 

 また、来年施行の民事執行法の改正により婚姻費用や養育費の不払いについて、厳しい対応が可能になります(第一回及び第二回本ブログご参照)ので、婚姻費用・養育費権利者にとっては大きな変化がある年になりそうです。

 

相談者:長々とご説明いただきありがとうございました。
    色々難しそうなので、先生に依頼したいと思います。

 

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